シーゲルの独り言☆

ヤフーブログから移行してきました~

蒼き疾風 第141話 信頼喪失 【シーゲルの歴史小説!】

蒼き疾風(あおきかぜ) 第141話 信頼喪失


 【シーゲルの歴史小説!】





※この物語はフィクションです。


※この曲を聴きながら…読んでみて下さい。



↓↓


【この回のイメージ曲♪(その1)】
黄金の日日
http://www.youtube.com/watch?v=GN-ttLjTf9Y


【この回のイメージ曲♪(その2)】
武田信玄 大河ドラマ
http://www.youtube.com/watch?v=oCFx4-sbL6A


【この回のイメージ曲♪(その3)】
真田太平記 オープニングテーマ
http://www.youtube.com/watch?v=TfuHA6em9ec



↓↓



天文22年(1553年)4月23日…

「葛尾城」から密かに「北信濃」に逃走し…
鳴りを潜めていた「村上義清」は…

村上義清に味方する北信濃の軍勢を引き連れて…
突如、葛尾城下に現れた…

武田晴信(のちの武田信玄)」に奪われた…
村上義清の本拠「葛尾城」を奪還するためである…。


「葛尾城」を守備していた「武田方」の兵は…
城の隅々まで知っている…
勝手の解った…村上方の兵に攻められると…
あっという間に…城を奪還されてしまった…。

葛尾城奪還に成功した「村上義清」は…
方々に散っていたり、武田家に投降(降伏)した…
旧臣たちを次々と城に引き入れ…

武田晴信(のちの信玄)」と…
「最終決戦」に臨むべく…篭城の準備を始めた…。


「我らが…狙うは…

 武田晴信の首一つ!!」(村上義清


それを合言葉に…
この篭城戦の…基本戦術として…

一発逆転の勝利をもくろんでいた…。


村上方の将兵たちは…
上田原の戦い、砥石崩れ(砥石城の戦い)で…
過去に二度…
武田軍に勝利していることから…

村上方の勝利を確信し…
兵の士気が高かった…。


あとは…

村上義清」を成敗すべく…
「葛尾城」を包囲してくるであろう…

武田晴信」の出陣を待つだけであった…。


「我らが…狙うは…

 武田晴信の首一つ!!(叫)

 武田晴信の旗印を確認次第…
 総攻撃をかける!!

 それまでは…
 決して相手に挑発に乗らず…
 城を頼りに…守りに徹するのじゃ!!(叫)」(村上義清


「えい!えい!お~!!(叫)
 えい!えい!お~!!(叫)」(村上方の将兵たち)



「御屋形様(村上義清のこと)!!

 武田の軍勢…姿現しましてございまする~!!(叫)」(村上方の物見の兵)


「う~ん!!(叫)」(村上義清


村上義清は…
武田の軍勢が現れたと聞いて…
すぐに城の物見台に登った…

武田の軍勢は…
三方から…姿を現し…

葛尾城の一方だけ…あけて…
蟻も逃さぬ包囲陣を引いた…。


「ん…???(驚)」(村上義清


物見台から…武田軍を見渡した…
村上義清は…
すぐにその「異変」に気付いた…


武田晴信は~!!??(叫)

 武田晴信が…本陣は…

 どこにあるのじゃ~!!??(叫)」(村上義清


「み…見当たりませぬ…!!??」(村上方の物見兵)


「な…何~!!!???(怒)」(村上義清


物見台に登った…
村上義清と…側近の将兵たちは…
目を皿のようにして…
武田晴信」の本陣を示す…
「晴信の旗印」を探したが…

「晴信の旗印」は…
どこを探しても見当たらなかった…


それどころか…

副将である「武田信繁(晴信の弟)」や、
武田信廉(晴信の弟)」…

飯富虎昌、原虎胤真田幸隆などの…
主だった重臣の旗印も無かった…

葛尾城を取り巻くのは…
信濃の先方衆を中心に…
村上方を見限って武田軍に投降した豪族や…

教来石景政(のちの馬場信春)や、
飯富源四郎(のちの山県昌景)、
春日源助(のちの高坂昌信)といった…

武田晴信
期待の若手&新人将校が中心となって…
包囲陣を固めている…


村上義清」は…
馴染みの無い…新手の将校と…
同じ信濃出身の将兵たちの布陣を見て…

急激に…戦意を喪失した…


「武田家の総大将…

 武田晴信めの…首ならば…

 命を賭けて…
 「決死の戦い」を挑む気にもなるのだが…


 何だ…あの布陣は…??


 ついこの前まで…味方だった…
 隣近所の…同じ信州人と…、

 ほとんど馴染みのない…
 武田晴信…期待の新人将校どもと…きてる…


 これでは…命をかける…
 張り合いが無い…


 それに見ろ…
 あの新人将校どもを…

 晴信めが…選んだとあって…
 なかなか…小憎らしいほどの…スキの無い布陣を組むものよ…

 それに…武田軍の方が…圧倒的に数が多いときている…。

 まさに…袋のねずみだな…。


 そして…
 一方を…包囲せず…開けたままにしているのは…

 我が軍を…精神的に揺さぶって…
 北信濃から応援兵たちに…
 脱走をすすめるようなものじゃ…

 これでは…篭城しても…
 次々と…脱走兵の数が…日に日に増大するであろう…(苦笑)


 おのれ~!
 武田晴信め~!!(怒)

 これでは…
 戦ったとて…大きな成果は上げられないし…

 我らの勝ち目は…無いに等しいでは無い…

 我らの負けじゃ…(悲)」(村上義清



「葛尾城」奪還に成功した…
村上義清」であったが…

武田晴信の巧妙な戦略によって…

武田晴信」と…
直接戦えないことに…戦意を喪失し…


結局は、篭城の包囲網を…
突破するためだけの戦いに…終始する…
無意味な消耗戦だけを行って…

再び、葛尾城を捨てて…
どこかに逃げ去ってしまった…。


これによって「村上義清」は…
大部分の家臣団の…信頼を失い…
村上義清を応援してくれた…
信濃の豪族たちまでの…信頼を失った…


この「信頼を喪失」させる…
村上義清」の「葛尾城」奪回作戦は…

村上義清の自らの首を…絞めただけの…
結果となった合戦となってしまった…。


信州・村上源氏の…
名門の隆盛を誇った…
村上義清」の運気は…
ここから…欠け始めていったのだが…

それでも…
村上義清」は…
武田晴信との勝負を…

決して…あきらめなかった…。


北信の豪族からの協力を得られなくなった…
村上義清は…
今度は、塩田平の…塩田城に篭って…

三度、武田晴信との決戦を試みたが…

すでに…周辺豪族からの…
協力もまったく期待出来ず…

8月になって…
武田晴信が…塩田平への侵攻を始めると…

結局、村上義清は…
またも…城を抜け出し…どこかに逃げ去ってしまった…。


妙法寺記」によると…

「此年、信州・村上殿、
 八月、塩田ノ要害(塩田城)ヲ引ノケ、行方不知ニナリ候。
 一日ノ内ニ、要害(城や砦など)十六、落(ち)申し候。
 分捕し足弱(老人や女子供)イケ取り申し候事、
 後代ニ有間敷候」

とある…

その結果…

行き場を完全に失った…
村上義清」は…
「越後」の「長尾景虎」のもとへと…
落ち延びて行く…。


そして…
村上義清」と…「武田晴信(のちの信玄)」の戦いは…

越後「長尾景虎(のちの上杉謙信)」を巻き込み…


世に名高い…

武田信玄」と「上杉謙信」の…

川中島の戦い」へと…

続いていくことになった…。




(つづく)

蒼き疾風 第140話 袋のねずみ 【シーゲルの歴史小説!】

蒼き疾風(あおきかぜ) 第140話 袋のねずみ


 【シーゲルの歴史小説!】





※この物語はフィクションです。


※この曲を聴きながら…読んでみて下さい。



↓↓


【この回のイメージ曲♪(その1)】
黄金の日日
http://www.youtube.com/watch?v=GN-ttLjTf9Y


【この回のイメージ曲♪(その2)】
武田信玄 大河ドラマ
http://www.youtube.com/watch?v=oCFx4-sbL6A


【この回のイメージ曲♪(その3)】
真田太平記 オープニングテーマ
http://www.youtube.com/watch?v=TfuHA6em9ec



↓↓



天文22年(1553年)4月…

小泉小太郎と「蒼き者」たちは…

色白の美少年「春日源助(のちの高坂弾正昌信)」に案内されて…

山中の中腹にある…
小さな…寂れた古寺に…到着した…

千曲川や葛尾城は…もちろん…
村上方の領内や…武田軍の配置まで…
一目で確認出来る…

見晴らしの良い…
小さな古寺の一室に案内されると…

そこには…
雑兵のカッコに変装した…
武田晴信(のちの武田信玄)」が…

肩肘をついて…外側に体を向けながら…
寝そべって…退屈そうに…本を読んでいた…。


「御屋形様…
 小太郎殿らを…お連れしました…(微笑)」(春日源助(のちの高坂昌信))


「お…御屋形様(晴信のこと)…(喜)」(小太郎たち)


「お~!小太郎たちか~!(喜)
 久しいの~!よう来た~!(喜)

 お~!!(驚)
 勘助…
 それに…(小幡)日意まで…(驚&感激)」(武田晴信(のちの信玄))


「ご無沙汰いたしております…(感激&涙)」(小幡日意)

「うん…うん…(感激&涙)」(武田晴信


「……(感激&涙)」(小太郎たち)


「小幡日意(小幡虎盛)」は…
晴信の父「信虎」追放のクーデターの後…
「信虎派」の主だった者たちは…
「晴信派」にその座を奪われ…失脚した…

失脚した「信虎派」の者とは言え…
「小幡日意」の才能を惜しんだ「晴信」は…

その身柄を…
武田家の派閥争いとは…まったく関係の無い…

甲斐・武田家に仕官を求めてきた…
素浪人「山本勘助」を頼って…
相模・小田原から訪れた「流れ者」…
元漁師だった「小泉小太郎」らを…

「蒼き者」と名付け…
晴信直属の「諸国御使者衆」とした…

「小太郎」たちのための…
「後見役」や「教育係」となるように…
日意を…説得して…
「小太郎と勘助」の「蒼き者」に引き入れた…。

そして…「小幡虎盛」は…
頭を丸め…僧となり…
名を「小幡日意」と改め…

尾張や堺、伊賀や紀州・雑賀や根来、越後や信州など…
各地で小太郎らが経営する…
「はまや・ささや」などの店舗や旅籠…
そして「工房」を持つ…「寺小屋」などの…
総責任者として…

主に尾張に拠点を置きながら…
そのつど、各地方を巡回し…
小太郎らの活動を支えて来た…。

その「小幡日意」が…
久しぶりに…晴信に再会したのである…。



小太郎たちを案内した…美男子…
「春日源助(のちの高坂昌信)」は…

武田晴信の「使い番」の「筆頭者」として…
常に側いる…
晴信…お気に入りの「側近」で…

晴信の「護衛隊長」のような役割を担っていた…

剣や刀、弓の使い手の屈強の「護衛兵」…
伝令役の「精鋭騎馬兵」…
陰で晴信を護衛する「武田忍び」などを…
選りすぐられた精鋭を配下に従えている…。


小太郎らは…
武田晴信」に会うと…

さっそく…
越後「長尾景虎(のちの上杉謙信)」と…
武田家が戦うことのマイナス面を訴え…

「北の海を目指す」こと(越後との合戦)を避け…

越後「長尾景虎」と同盟を組み…

善光寺を中立地帯とし…

善光寺から北は…越後(長尾家)…、
善光寺から南は…武田家が支配することして…


武田家は…

「南の海を目指す」こと(駿河・今川家と戦う)を…

強く進言した…。



「御屋形様…(真剣に訴える)」(小太郎)


「解っておる…

 ワシも…頭の中では…
 そのようにした方が良いことは…
 よくよく…解っているつもりなのだが…

 一戦も戦わずに…
 越後「長尾景虎」と…
 同盟組んでしまうのは…

 どうかと思っている…」(武田晴信


「御屋形様…

 今の越後は…
 「長尾景虎」によって…国内統一され…

 強兵の上に…
 経済力も…生産力も…
 武田家をはるかに凌ぎます…

 その経済力は…
 近隣諸国や、京や堺まで交易を持ち…
 駿河・今川家によりも…
 上まわるかも知れませぬ…」(小太郎)


「うーん…(考え中)」(武田晴信


「それに…今は、
 越後と北信濃の高梨殿を通じて…
 真田殿を経由し…

 塩や魚介類などを中心に…
 様々な品々が…武田領内に流通され…

 駿河・今川家から流通される…
 海産物より…
 ずっと手頃な値段で…
 武田領内に…海産物が流通されるようになりました…

 それによって…
 武田領内の食糧事情は…安定し…

 越後と武田家領内の双方が…
 経済的に潤い…
 ますます発展していく…その矢先のです…

 その発展の流れを…
 越後との合戦によって…

 全て…台無しにしてしまって…宜しいのですか…??」(小太郎)


「うーん…たしかに…(考え中)」(武田晴信


「御屋形様…

 御屋形様が…「甲斐の虎」に…例えるならば…

 越後「長尾景虎」は…「越後の龍」…

 共に…戦巧者の…
 双方が争ったところで…
 お互い…国内が消耗し…戦が長引くばかりで…

 そう簡単に…決着が着くとは思えませぬし…

 決して…武田家のためになるとは思えませぬ…(真剣)」(小幡日意)


「うーん…(考え中)」(武田晴信


「御屋形様…

 越後の国境は…
 冬になると…大雪によって…道が閉ざされ…

 越後に行くこと…かないませぬ…

 そんな雪国の越後を…
 春夏に…武力で獲ったところで…

 冬になれば…
 すぐ反乱が起き…領地を取り返される…

 そんな「イタチごっこ」が続くばかりで…
 雪国の越後なんて獲っても…
 これっぽっちも…良いことありません…


 それより…
 駿河・今川…南の海です…

 今の今川家は…
 実力的には…
 「東海一の弓取り」ですが…

 「満れば欠ける」の言葉通り…

 あの思い上がった…
 「今川義元」とその家臣どもの…

 「京・雅」の…
 派手な「貴族志向」への没頭振りといったら…

 「衰退への道」を進み始めている…

 としか言い様が無いですね…」(山本勘助


「うん…たしかに…それは…
 皆の考えと…同じに思うぞ…(考え中)」(武田晴信
  

「はい…」(小太郎たち)


しばらくの沈黙の後…


「いずれにするとしても…

 まずは…「村上義清」じゃ…


 あの「目の上のたんこぶ」がいる限り…
 
 「北信濃の豪族」の動向が…
 我らをこれからを大きく左右することなるし…

 「北信濃の豪族」のみならず…
 「越後」との…長きにわたる…
 泥沼の合戦に…引き込まれる可能性も考えられる…

 まずは…なんとしても…
 あの「村上義清」を…
 降伏させるか…討ち取るか…はっきりさせねば…


 越後・長尾景虎との同盟関係は…ありえないし…

 駿河・今川への侵攻も…ありえないのじゃ…(困)」(武田晴信


「うーん…(困)」(小太郎ら)



すると…庭先に…一人の男が現れて…


「そこで…このワシの出番…と言うわけじゃ…(笑顔)」(真田幸隆


「幸隆殿~!!(喜)」(小太郎ら)


「おお~真田~!(喜)

 何か…イイ情報や考えを…持って来たのか…??」(武田晴信


「はい!御屋形様!

 「村上義清」の狙いは…

 一発逆転を狙う…

 御屋形様の身印(首)一つ…(緊張)」(真田幸隆


「……(緊張)」(一同)


「だったら…

 それを…餌にして…

 村上義清をおびき出し…

 「袋のねずみ」に…するだけです…(笑顔)」(真田幸隆


「ええ~!!!!(驚)」(一同)



(つづく)

蒼き疾風 第139話 忍びの巣 【シーゲルの歴史小説!】

蒼き疾風(あおきかぜ) 第139話 忍びの巣


 【シーゲルの歴史小説!】





※この物語はフィクションです。


※この曲を聴きながら…読んでみて下さい。



↓↓


【この回のイメージ曲♪(その1)】
黄金の日日
http://www.youtube.com/watch?v=GN-ttLjTf9Y


【この回のイメージ曲♪(その2)】
武田信玄 大河ドラマ
http://www.youtube.com/watch?v=oCFx4-sbL6A


【この回のイメージ曲♪(その3)】
真田太平記 オープニングテーマ
http://www.youtube.com/watch?v=TfuHA6em9ec



↓↓



天文22年(1553年)4月…

越後の「長尾景虎(のちの上杉謙信)」と…
甲斐の「武田晴信(のちの信玄)」の合戦…

川中島の戦い」を…阻止するため…

信州へと向った…
小泉小太郎の「蒼き者」たちは…

武田晴信(のちの武田信玄)」に会うため…

まずは…
信州「真田の庄」へと入った…。



砥石城の城下に…
新たに建てられた「真田屋敷」を訪れた…
小泉小太郎と「蒼き者」たちは…

武田晴信に従い…
真田の「草の者(忍び)」を総動員して…
最前線に出て、
村上方への諜報活動を行っている…
父「真田幸隆」を代行して…

「真田の庄」を守備している…
幸隆の長男…
「真田源太」改め…
真田「源太左衛門」信綱を訪ねた…


真田「源太左衛門」信綱は…

妻の「於北(おきた)」(高梨政頼の娘)と…

幸綱を補佐する…幸隆の弟で、「源太左衛門」の叔父…
矢沢頼綱」と共に…

小太郎たちを出迎えた…。


「小太郎殿…お久しゅうございます…(笑顔)」(真田「源太佐衛門」幸綱)

「源太殿…いや…源太佐衛門殿は…
 少し見ないうちに…随分と大人びて…ご立派になられましたね…(驚&嬉)」(小泉小太郎)

「いえ…それほどでも…(謙遜&照れる)」(真田「源太佐衛門」幸綱)


「それは…嫁を…もらったからでは…ないのか~??(笑)」(山本勘助

「い…いや…あの…その…(恥&困&照れる)」(真田信綱

「………(恥&困&照れる)」(真田信綱の妻「於北」(高梨政頼の娘))


「ははは~(笑)」(一同)





「ところで…真田の庄では…
 いまだに…警戒態勢をとっておるようじゃが…
 村上との合戦は…まだ終わってないのかね…??」(小幡日意)

村上義清の本拠…
 「葛尾城」は…すでに落ちたと聞きましたが…??」(小太郎)


「ええ…
 葛尾城は陥落しましたし…
 村上に味方していた周辺豪族も…
 次々に武田方に投降して…一応は、終戦になったのですが…(困)

 肝心の「村上義清」が…
 本拠「葛尾城」をひそかに脱出して…
 行方をくらましてしまったことで…
 常に厳戒態勢をしているのですよ…(困)」(真田信綱


村上義清は…どこへ…??」(山本勘助

「恐らくは…北信濃の豪族のところでしょう…(困)」(真田信綱


「高梨殿(高梨政頼)のところかえ…??」(山本勘助


「ええ…おそらくは…(困)」(真田信綱

「………(困)」(真田信綱の妻「於北」(高梨政頼の娘)


「………(困)」(一同)


「高梨殿(高梨政頼)も…
 さぞ…お困りのことでしょう…(困)」(小太郎)


「戦上手の…「村上義清」のことじゃ…
 上田原(上田原の戦い)や、砥石(砥石崩れ)の前例もあって…

 またいつ…どこに…現れても…不思議じゃないからの~(困)

 いきなり…北信濃の豪族を従えて…
 この「砥石城」を奪還しに現れたとしても…
 まったく不思議じゃないからの~(困)」(矢沢頼綱

「それで…真田の庄も…
 厳戒態勢が解けずにいるわけですね…(納得)」(小太郎)


「ところで…
 甲斐の御屋形様(武田晴信)は…
 どちらに…いらっしゃるので…??」(山本勘助

「わかりません…

 超~極秘事項ですから…
 知っていたとしても…お教えすることは出来ませんが…

 なんでも…
 村上義清の…奇襲を警戒されて…
 本陣を立てず…
 旗印も立てず…
 どこかで…采配を振るわれているそうですよ…」(真田信綱


「う~ん…(困)
 上田原や…砥石崩れのことがあるから…

 堂々と本陣を立て、旗印を立てたら…

 村上義清に…
 「ここにいるから…奇襲して下さい…」
 と…言わんばかりのことですからねぇ…(困)」(小太郎)


「あやつ(村上義清)の戦ぶりは…

 政治的なことや…
 合戦全体の勝ち負けよりも…

 御屋形様(武田晴信)の「首一つ」だけ狙って…

 戦略を立ててくるような男(戦上手)だからの…

 油断は絶対に禁物じゃ…(困)」(矢沢頼綱



「慎重な御屋形様(武田晴信)のことじゃ…

 過去、二度も…痛い目に合わされた…
 「村上義清」のことは十分に警戒されているだろうし…

 もし…戦場にいたとしても…
 絶対に…「影武者」を使っているだろうし…(笑)

 もう…深志城(松本)や…諏訪…まで撤退しているか…

 もしかしたら…
 信繁様や信廉様(武田信繁武田信廉(晴信の弟))に…
 指揮を任せて…

 ご自分は…
 甲斐・府中に…戻ってしまっているかも知れないぞ…??」(山本勘助


「たしかに…(納得)」(小幡日意)


「それでは…
 幸隆殿の居場所には…
 連絡は…つかないのですか…??」(小太郎)

「はい…
 「草の者(真田家の忍び)」を通じて…
 つなぎ(連絡)はつきますが…

 村上方や北信濃の諜報活動中で…
 居場所は…極秘事項でしょうし…

 最前線の厳戒態勢の中ですから…
 たとえ、味方といえども…
 簡単には出歩けませんし…
 そこに出向くのは…大変な危険を伴いますよ…」(真田信綱


「うーん…困ったなぁ…」(小太郎)


「ですが…(笑顔)

 小太郎殿たちが参られるかも知れないから…

 何かあった時には…
 ここでつなぎ(連絡)をつけろと…

 書状だけは…預かっておりますよ…(笑)」(真田信綱


そう言って…真田信綱は…
自分の髪の毛の中から…
楊枝のように…細く小さく丸められて…
溶かしたロウソクでしっかりと固められた…
「草の者(真田家の忍び)」が…つなぎ(連絡)に使う…
特殊な書状を取り出し…小太郎の前に差し出した…


「そんな…ものが…あったのか…??
 ワシは…何も聞いておらんぞ…??(驚き&初耳)」(矢沢頼綱


「なんだ~早く~それを言ってよ~(笑)」(山本勘助


「それで…中身は…何と…書いてあるのだ…??」(小幡日意)


「ワタシは…
 書状の内容まではわかりません…
 それに…書状には…まったく手をつけてもおりません…

 ワタシだけにしか…渡されてない…
 超~極秘事項の書状ですから…(笑)」(真田信綱


小太郎は…
ロウソクで固められた小さな書状を…
ゆっくりと丁寧にあけて広げると…

そこには…
簡単な地図と…場所が書かれていた…

小太郎は…内容を確認して…頭に叩き込むと…
誰にも…話さず…誰にも見せずに…
囲炉裏の火の中に…放り投げて…燃やしてしまった…。


「あっ!!??(驚)」(一同)

「超~極秘事項ですから…(笑)」(小太郎)


次の日…小太郎たちは…
書状に書かれていた…
真田幸隆との…つなぎの場所へと…馬に乗って向った…


小太郎は…
わざと…あっちこっちに…遠回りしたり…逆戻りしたりして…
「追っ手」がいないか…慎重に確認してから…

村上方の領内が一望出来る…
千曲川沿いの山中の中腹にある…
小さな…寂れた…古寺へと向った…。


「ほんとーに…こんな山奥に…
 幸隆殿は…おるのかの~??(心配)」(山本勘助


「でも…ここからは…
 村上方の領内が一望出来るし…
 敵の襲撃も一目瞭然だ…

 ほら…我が武田の軍勢の配置だって…
 一目で、一望出来る…

 幸隆殿なら…きっとこの場所で…
 草(諜報活動)を行うであろうよ…(笑顔)」(小幡日意)



「小太郎…(小声で)」(女忍びの「風間の市」)


「どうした…市…??(不安)」(小太郎)


「……(目で合図をする)」(風間の市)


小太郎は…黙ってうなずき…
さりげなく…勘助と小幡日意にも…合図を送った…。


「……(目で合図をする)」(風間の市)

女忍びの「風間の市」は…
敵に…話の内容を知られないようにするため…
まったく口を動かさずに…小声を話した…

「我らは…この山に入ってから…ずっと…

 大勢の何者かに…見張られている…(脅える)」(風間の市)


「……(驚)」(小太郎たち)


「この山は…

 「忍びの巣」だ…(脅える)」(風間の市)


「……(驚)」(小太郎たち)



すると…

まるで…女性が…男装したかのような…

色白で…美しい顔をした…

軽装の若武者が…


ゆっくりと…小太郎たちに近づいて来た…。


小太郎たちは…

その美男子の…あまりの美しさに…

「この世のものでは…ないのでは…??(幽霊のよう)」

「キツネが化けて出たのでは…??」

とさえ…思った…

普段は…男に目もくれない…
女忍びの市も…
思わず…その色白の美男子に見とれたほどだった…。


すると…今度は…
小太郎らの周りから…殺気のような鋭い視線を感じ…
はっと…周りを見渡すと…

小太郎たちの周りに…
村の百姓の野良着のようなカッコをした…
不気味な雰囲気の男たちが…
いつの間にか…周りを囲んでいた…

その彼らの不気味さと言ったら…
まるで…この世のものでない(幽霊のよう)と思うほどだった…。


小太郎たちの緊張と恐怖が…

最高潮に達した時…

山本勘助が…ふと…
何気なく…気のない言葉を発した…。


「げ…源助…??
 源助じゃないのか…??」(山本勘助

「お久しぶりです…勘助様…(微笑)」(美男子:源助)


「勘助様は…
 この方を…知っているの…??」(風間の市)


すると…その美男子の源助は…
吸い込まれるかのような…美しい微笑を見せながら…
小太郎に向って…静かに言葉を発した…


「小太郎さんですね…(微笑)」(美男子:源助)

「は…はぁ…(緊張)」(小太郎)


「「春日源助」(のちの高坂「弾正」昌信)と申します…

 御屋形様(武田晴信)がお待ちです…

 さあ~どうぞ、こちらへ…(微笑)」(美男子:源助)


(つづく)

初恋6 第7話 もう一つの運命の再会(後編) 【シーゲルの恋愛小説!】 第6部(社会人編パート3:「山本慶子」の巻)

初恋6 第7話 もう一つの運命の再会(後編)


 【シーゲルの恋愛小説!】 第6部(社会人編パート3:「山本慶子」の巻)




※この物語はフィクションです!☆
 1980年代後半頃を時代背景にした物語となります。

※画像はイメージです。




↓↓



【このシリーズのイメージ曲♪&山本慶子のイメージ曲♪】
石川秀美 夏のフォトグラフ
http://www.youtube.com/watch?v=77ughl2_WQM



【信之のイメージ曲♪】
夏の流れ 松田優作
http://www.youtube.com/watch?v=OhJNMHMIvBI


↓↓



僕は…三浦信之…21歳…。




(前編からのつづき)





「親友の恋人を奪った…
 サイテー女…ケイコ…(苦笑)」(女性の声)


「!!!!!(驚)」(僕と山本慶子)


僕らのテーブルの斜め後ろの席から…

山本慶子ちゃんを…中傷する…
数人の男女の悪口が聞こえて来た…

どうやら…
慶子ちゃんの中学の(僕の中学の隣の中学)…
同級生の連中らしい…


「親友の恋人を奪った…
 サイテー女の…ケイコが…(苦笑)

 また「新しい男」を捕まえて…
 楽しそうなこと…やっているよ…(苦笑)」(女性の声)

「イヤ~ね~まったく…(ニヤニヤと笑)
 同じ女性として…アイツを見ていると…
 ヘドが出そうだわ…(苦笑)」(女性の連れの女性)

「はははは~(ニヤニヤと笑)」(悪口を言う女性の連れの男)


山本慶子ちゃんの悪口を言うのは…
見るからに不良っぽい…
二人の女性と、二人の男の「4人」だった…


「………(ショック)」(山本慶子)

「相手にしちゃダメだ…
 場所を変えよう…(緊張)」(僕)

僕と山本慶子ちゃんは…
席から立ち上がって…店を出ようとすると…

「女も…女だけど…(山本慶子ちゃんのこと)
 その男も…男だよなぁ…(僕のこと:苦笑)」(女)

「ダっせー男…(苦笑)」(連れの女)

「あ~はははは~(爆笑)」(男女4人)


「!!!!(怒&睨む)」(僕)


僕は…自分のことをバカにされて…
つい…カッとなって…
その4人組の方を振り向いて…睨み付けてしまった…。


「!!!!(怒&睨む)」(僕)


「何だよ!!テメー!!
 オレ様たちに…ガンつける(睨みつける)なんて…
 10年早ーよ~!!(苦笑)」(連れの男)

「!!!!(怒&睨む)」(僕)


「ノブくん…やめなよ…(心配)
 アイツらに関わんない方がイイよ…
 さっ!早く…ここを出よう…(心配)」(山本慶子)


「わ…解ったよ…いこう…(興奮)」(僕)


すると…その男が立ち上がって…

「おい!テメー!待てよ!!(怒)」(連れの男)

と言って…
僕の肩をつかんで振り向かせた…


「何だよ!!(怒)」(僕)


「テメー!
 オレらと…同じ年くれーだけど…
 このへん(地元)じゃ…
 見ねー顔だな…??」(連れの男A)


「地元の人間で…同級生だよ…(苦笑)」(僕)


「こんなダッセーヤツ…
 ウチの中学にいたっけかねぇ…??(苦笑)」(連れの女)


「テメー…オレ様たちのこと…知らねーのか…??(苦笑)」(連れの男B)


「オマエらなんか…知らないよ…(苦笑)」(僕)


「何コイツ!!
 クソ生意気な…ヤロウだね~!!(怒)」(悪口を言った女)


「おい!表に出ろ!!(怒)」(連れの男A)


僕と山本慶子ちゃんは…
その4人組に連れられて…ファミレスの駐車場まで…
引っ張ってこられた…


「ノブくん…どうする…(不安&恐怖)」(山本慶子)

「大丈夫…心配いらないよ…(笑顔&冷静)」(僕)


山本慶子ちゃんは…
いざ…ケンカとなるかも知れないと言うのに…
冷静な顔で…笑顔を浮かべている…僕の顔を見て…
不思議そうな顔をしていた…。

不良4人組も…
自分たちに…駐車場に連れ出されて…
顔色一つ変えずに…
冷静な顔で…笑顔を浮かべている…僕の顔を見て…
逆にその不良4人組の方が…
緊張の顔を浮かべている…。


「テメー!ビビってんじゃねーぞ!!(緊張)」(連れの男A)


「……(笑顔)」(僕)


「(小声で)
 なんか…変だよ…コイツ…(緊張)
 ワタシらに…ぜんぜん…ビビってねーよ…(緊張)」(連れの女)

「(小声で)
 変だな…??
 もしかして…コイツ…
 有名人…????(緊張&焦)」(連れの男B)


「えっ…!!??(驚)」(悪口を言った女、連れの男A)


「(小声で)
 じゃきゃ…
 格闘技の選手とか…

 もしかして…
 マッポ(警察官)とかなんじゃね…??(緊張&焦)」(連れの男B)


「えええ~!!??(驚&焦)」(悪口を言った女、連れの男A)


「……(笑顔)」(僕)


「(小声で)
 なんか…そー考えてみると…
 けっこう…ガタイ(体つき)がイイし…
 どーみたって…体鍛えてる…って感じだぜ…(緊張&汗)」(連れの男B)


「ふっ…(苦笑)」(僕)


「………(緊張&焦&後ずさりする)」(4人組の不良の男女)



すると…


「待ちな!!」(謎の男)


今度は…
駐車場の陰から声がして…
上から下まで…
真っ白なカッコをした…
不良の二人の男が…現れた…


「そーさ…
 ソイツに手を出すのは…辞めときな…(笑)」(謎の男)


「ま…マルちゃん…!!!(驚)」(4人組の不良の男女)


「ん??
 マルちゃん…???(驚)」(僕)


懐かしい響きの「あだ名」と「声」に…
その「謎の二人組」を良く見てみると…

そこには…
僕の中学の同級生で…悪友だった…
「マルちゃん」と「石川」の姿があった…


「マルちゃん!!石川!!(驚&喜)」(僕)

「ノブ~!!!!(喜&嬉)」(マルちゃんと石川)


※(注)「マルちゃんと石川」…
 初恋シリーズの「初恋1.5」、「初恋2」での登場人物です。
 詳しくは…「初恋1.5」、「初恋2」を…参照して下さい。


それは…偶然の再会だった…。

僕と…マルちゃんと石川は…
中学を卒業して…高校入学し部活を始める前くらいの頃から…
実に数年ぶりの再会に…手を取り合って…大声で笑いあって喜んだ…。


「ノブは…
 オレの中学ん時の親友なんだ…
 オマエら…この二人に手を出すんじゃねーぞ…」(マルちゃん)


「えっ??
 ○中の…同級生で…
 マルちゃんの…親友…???(驚)」(4人組の不良の男女)


僕らの代の…僕らの中学は…
僕らの地元では…
「不良生徒異常発生中学」ってあだ名されるほどの…
地元で最強中学だったし…、

さらにその中学で番格の不良生徒だった「マルちゃん」の…
僕は…「親友」で…手を出すなと…

それを聞いて…4人組の不良の男女は…
何も言わずに…バツが悪そうな顔をして…大人しく引き上げていった…。


「助かったよ…マルちゃん…石川…(喜)」(僕)

「なーに…オレらがいなくたって…
 余裕だぜ…って顔してたクセによ~(笑)」(マルちゃん)


「ホント…ホント…(笑)」(石川)


「で…

 このステキな…お嬢さんは…誰…??(笑&照)」(マルちゃん)


「……(少し二人を怖がっている)」(山本慶子)


「えっ??

 マルちゃん…
 一度、会ったことあるよ…

 ほら…隣町の中学で…
 サッカー部の試合があって…応援に行った時…

 サッカー部の女子マネージャーだった…

 僕の小学校時代の…「幼馴染」…

 「山本慶子ちゃん」だよ~!!(笑)」(僕)


「お~お~!!(思い出す)
 あの時の…美少女マネージャーか…!!(驚&嬉)
 マルです!!ヨロシク~!!(照れ笑)」(マルちゃん)

「石川っす…ヨロシク…(照れ笑)」(石川)


「よ…ヨロシクです…(少し二人を怖がっている)」(山本慶子)



小学校時代の幼馴染「山本慶子ちゃん」と…
中学時代の悪友「マルちゃん」と「石川」…

この…もう一つの「運命の再会」は…

僕と…山本慶子ちゃんとの…
「これからの関係」にも…
この二人が…深く関わってくるのだが…

それは…これからのお話と言うことで…





(つづく)



※この物語は…
 1980年代後半頃を時代背景にしたフィクションです。

初恋6 第6話 もう一つの運命の再会(前編) 【シーゲルの恋愛小説!】 第6部(社会人編パート3:「山本慶子」の巻)

初恋6 第6話 もう一つの運命の再会(前編)


 【シーゲルの恋愛小説!】 第6部(社会人編パート3:「山本慶子」の巻)




※この物語はフィクションです!☆
 1980年代後半頃を時代背景にした物語となります。

※画像はイメージです。




↓↓



【このシリーズのイメージ曲♪&山本慶子のイメージ曲♪】
石川秀美 夏のフォトグラフ
http://www.youtube.com/watch?v=77ughl2_WQM



【信之のイメージ曲♪】
夏の流れ 松田優作
http://www.youtube.com/watch?v=OhJNMHMIvBI


↓↓



僕は…三浦信之…21歳…。



(「山本慶子ちゃん」(の心の中)には…

 きっと…

 「何か」…隠し事がある…(心配&哀))(僕:信之の心の中)


その「何か」は…
今の僕には…解らないけど…

本当は…スグにでも…話したいのだろうけど…
話したくても…話せない…
一人で…思い悩み…苦しんでいる…
「何か」が…
「山本慶子ちゃん」の中にあるのだろう…

でも…僕は…
その「山本慶子ちゃん」の「何か」が…

きっと…
「初恋」に関することなのだろう…

そしてそれは…
あの…中学の時のサッカー部の…
「初恋の人」に関することなのだろう…と…

僕は…なんとなく…解っている…。


過去に…僕自身が…
「初恋の人」に対して…そうだったように…

今の「山本慶子ちゃん」には…
その「初恋」の「心の病気」に…
一人…思い悩み…苦しんでいるのだろうと…

もし…そのことを…
誰かに相談出来るとしたら…
本職のカウンセラーであるとか…

山本慶子ちゃんに…
本当に…親しい人物だけなのだろうと…


「山本慶子ちゃん」の「初恋」の…
「恋のいきさつ」は…
過去に…何度か聞いたことがある…

中学で同級生になった…
「○中のジーコ」って…
地元界隈で有名だった…
「サッカー部の10番(エース)」に…
一目ぼれした…山本慶子ちゃんは…

中学1年で同じクラスになった時から…
ずっと「その人」を思いつめていて…

「その人」が…好きだから…と…
「サッカー大好き少女」になった…

サッカーを観るだけでなく…
実際にボールを蹴って…
リフティング上手になっていたし…

中学3年の時には…
サッカー部のマネージャーにもなっていた…。


そのくらい…
その「初恋の人」を…ずっと思いつめたのに…
結局、山本慶子ちゃんは…
中学時代は…その人に告白出来ず…
ずっと「片思い」のまま…
終わってしまった…「初恋」だったと言う…。


しかし…
山本慶子ちゃんは…
高校に入っても…
ずっと…その「初恋の人」を…密かに思い続けていたある日…

その「初恋の人」…
「滝川幸輔」と再会してしまう…


※以下の「過去の記事」を参照して下さい。

↓↓


初恋99 「まちぶせ」  【シーゲルの恋愛小説!】 「山本慶子」編
http://blogs.yahoo.co.jp/letmeride731/60133116.html


↓↓


そして…
自分の中学時代からの「親友(裕子)の恋人」だった…
「幸輔」を…
結果的には…親友から…奪い取るような形にはなってしまったが…

「山本慶子ちゃん」は…
「初恋の人」「幸輔」と…ついに結ばれることとなる…


しかし…

そのことで…
「山本慶子ちゃん」には…
地元で「悪いウワサ」が流れていた…

「親友の恋人を奪った…サイテー女・ケイコ」…

これが…「山本慶子ちゃん」の…
地元での「陰のニックネーム」だった…。

このことで…
中学や高校の同級生の女子連中から…
総スカンを食らい…
徹底的な「シカト」を受けたらしい…

「幸輔」は…
サッカーが上手いだけじゃなく…
どこか「少女マンガ」に出てくる「ヒロイン」のような…
「貴公子」のようなカッコイイ・ルックスで…

その「隣の中学」で…多くの女子が…
「幸輔」に憧れを抱いていただけに…
「嫉妬の的」となってしまっていたこともある…

「山本慶子ちゃん」は…
「初恋は成就した」が…
そのために…「親友」をはじめ…
同級生女子からの信頼を全て失い…
「嫉妬の的」になってしまったワケなのだ…

僕も…高校を卒業してから…
中学の同級生と会った時に…
そのウワサを…チラっと聞いたことがあった…。


決して…その恋が…
山本慶子ちゃんが…全て悪い…
と言うワケでは無く…

「幸輔」って男が…自ら「決断」して…
「裕子(山本慶子ちゃんの親友)」と別れて…
「山本慶子ちゃん」と付き合うことにしたのだから…

山本慶子ちゃんだけが…
「サイテー女」呼ばわりされるのは…
不公平だと…僕は思うなぁ…。



「ノブくん…何を考えているの…??」(山本慶子)


「ん??…いや…何でもないよ…(笑)」(僕)


今夜も…山本慶子ちゃんと二人で会って…
地元のファミレスで…お酒を飲みながら…食事をしている…


僕は…
山本慶子ちゃんが…僕に心を開いて…
山本慶子ちゃんの「心の傷」を…
自ら語ってくれることを…待っている…


そうでなくては…

「僕と山本慶子ちゃん」との…

「これから」が…

始まらないような気がするからだ…


それが出来れば…

僕と山本慶子ちゃんは…

「幼友達」とか…
「親戚同士に近いような仲」とか…

そーいった関係でなく…

「それ以上の関係」となっていくような気がするからだ…

僕は…
スミレちゃん(僕の初恋の人)以外の人と…
付き合うならば…

スミレちゃんに似た感じの人か…
スミレちゃんと同等以上に魅力を感じる人か…

山本慶子ちゃんのような…
お互いを分かり合った…
「親友同士」のような女性が良い…

そう…僕は…思っている…。


「(しばしの沈黙の後…)

 ねぇ…

 ノブくん…(悩)」(山本慶子)


「何だい…??(笑顔)」(僕)


「……(悩)」(山本慶子)


「どうしたの…??(笑顔)」(僕)


「ノブくん…
 実は…
 ノブくんに…
 聞いてもらいたいことがあるんだけど…(悩)」(山本慶子)


「何~??(笑顔)」(僕)


「ノブくん…
 ワタシのこと…
 キライにならないでね…(悩&悲)」(山本慶子)


「もちろんさ…(笑顔)」(僕)


「実はね…(緊張)」(山本慶子)


「うん…(緊張)」(僕)


山本慶子ちゃんが…何か…僕に言いかけた時…


「親友の恋人を奪った…
 サイテー女…ケイコ…(苦笑)」(女性の声)


「!!!!!(驚)」(僕と山本慶子)


僕らのテーブルの斜め後ろの席から…

山本慶子ちゃんを…中傷する…
数人の男女の悪口が聞こえて来た…



(後編につづく)

蒼き疾風 第138話 落城 -笄の渡し-(後編)

蒼き疾風(あおきかぜ) 第138話 落城 -笄の渡し-(後編)


 【シーゲルの歴史小説!】





※この物語はフィクションです。


※この曲を聴きながら…読んでみて下さい。



↓↓


【この回のイメージ曲♪(その1)】
黄金の日日
http://www.youtube.com/watch?v=GN-ttLjTf9Y


【この回のイメージ曲♪(その2)】
武田信玄 大河ドラマ
http://www.youtube.com/watch?v=oCFx4-sbL6A


【この回のイメージ曲♪(その3)】
真田太平記 オープニングテーマ
http://www.youtube.com/watch?v=TfuHA6em9ec



↓↓


(前編からのつづき)



城を抜け出した…
「於ふね」一行は…
葛尾城の城下町を抜け…
千曲川に程近い…小さな村に入ると…

そこでは…
村人たちが…混乱して大騒ぎしていた…
家財を持ち出して…どこかに避難しようといるのだ…

何でも…この村での…
「ねずみ」(寝ず見の番)の者が…

北信へ逃亡する「村上義清」を見かけた者がいて…
そのウワサが広がって…
村人が混乱に陥っているのであった…。


「於ふね様…
 ここまま…この村を通って…北上するのは…
 少々、危険かも知れませぬ…

 遠回りになるかも知れませぬが…
 千曲川を渡り…
 迂回して…北信へ向った方が…安全かと思いまする…」(蒼き者の伊兵衛)


「あいわかった…
 伊兵衛殿の…良きように…(笑顔)」(於ふね)


「於ふね」一行は…
春先の雪解け水で…増水した…
千曲川の川岸に出ると…

そこでは…
渡し舟の船頭たちと…客たちが…
何やら揉めているようだった…。

その揉め事の原因は…

どうやら…この客たちが…
城を…密かに抜け出した…
「村上方」の重役の「家族」たちのようで…

それと解った「船頭」たちは…
普段からの「恨み言」でもあるのだろうか…??
船に乗せることを拒んでいる…

乗船を…拒むだけでは無く…
ここぞとばかりに…
普段の「仕返し」をしてやろう…とでも思ったのだろうか…
その客たちに…暴言を吐いて…暴力をふるい…
略奪まで行っているようだ…。


「ここの渡しは…危険です…
 他の場所に移りましょう…」(蒼き者の伊兵衛)


身の危険を感じた「伊兵衛」は…
その渡しから離れ…
一行を…一旦、安全な場所に身を隠すと…

「新八郎」を…
探り(偵察)に出して…
川を安全に渡れる場所を探させた…

川は増水して歩いて渡るのは無理だろうから…
どうしても…船頭を探して…
船で川を渡るしかない…。


しばらくして…
闇夜の中を…風のように走る…
まるで…野獣のような…
「新八郎」が…舞い戻って来ると…

「あ…あっち…の…方に…(どもりながら)
 ひ…人の良さそう…な…
 せ…船頭の…じ…爺が…いた…」(蒼き者の新八郎)


「大丈夫なのですか…??(心配)」(草の者の七助)

「大丈夫…
 新八郎は…頭は悪いが…
 人を見る目は…確かだ…(笑顔)」(蒼き者の伊兵衛)


「於ふね様…
 いかがいたします…??(心配)」(草の者の七助)


「わかりました…。
 伊兵衛殿と…新八郎殿を…信じましょう…(笑顔)」(於ふね)



「於ふね」一行は…
「新八郎」が見つけた…
人の良さそうな老人の船頭のところに向った…。

その老人の船頭は…
渡し船」の船頭では無く…
「川舟」の漁師だった…。

なんでも…この混乱にまぎれて…
川船を盗まれるのではないかと…
心配で…船を見張っていたのだそうだ…。


伊兵衛は…於ふね一行を…
向こう岸に…渡してもらえないかと…
老人の漁師に…交渉すると…。


「ダメだ!ダメだ!
 わぬしらは…
 村上方の偉いさんの…奥方様か?何か?じゃろ…??

 何でも…村上の殿様は…
 もうどこかに逃げちまったっていうじゃないか…

 さすれば…それを知った武田の軍勢が…
 すぐにでも…ここを占領するじゃろう…
 
 そしたら…占領した武田軍に…
 奥方様たちの一行を逃亡させるのを手伝ったって…
 船を出した…わしが…因縁をつけられて…
 へたしたら…斬り殺されてしまうじゃないか…(困)」(老人の漁師)


 
伊兵衛は…
老人の漁師に…何度もお願いしてみたが…
老人は…「迷惑だ!」の一点張りだった…。

すると…
それを…見かねた「於ふね」が…
老人の漁師に…
護身用に持っていた…
「笄(こうがい)」を手渡して…
直接、お願いをはじめた…。


その「笄」は…
見事な細工が施された…
一目で高価な物と解る立派な物で…
高梨家の家紋が入っていた…。

「於ふね」が…
村上義清の側室となって…
高梨家を離れる時に…
兄の高梨政頼が…持たせてくれたものだった…。


その笄を…手に取った…漁師の老人は…
高梨家の家紋の細工を見て…


「あなた様は…
 いったいどちらの奥方様で…??」(老人の漁師)


と尋ねた…。


それを聞いていた「侍女」は…

「無礼者!!(怒)

 このお方は…
 「村上義清」様の側室で…
 「高梨政頼」の妹…

 「於ふね」様で…いらっしゃいますぞ!!(偉)」(侍女)


と…侍女は…

この老人に…お願いをしている…と言う立場なのに…
城内にいる時の…いつも調子で…
ついつい…高飛車な物言いで…言ってしまった…。

そう言った「侍女」も…
「あっ!しまった!」という顔をして…
すぐに…後悔してしまっている…。

これでは…
乗せてくれるものも…乗せてくれなくなってしまうだろうと…
誰もが思ったのだが…


「於ふね様…??
 真に…あなた様が…
 於ふね様で…いらっしゃいますのか…??(驚)」(老人の漁師)


すると…
その「老人の漁師」は…

急に…態度を改め…
片ひざをついて…於ふねに対して礼をとり…
深々と頭を下げて…こう言った…。


「これは…大変、失礼を致しました…
 於ふね様とは…いざ知らず…
 ご無礼の数々…お許し下され…」(老人の漁師)

と…態度を一変させ…

すぐに…船に一行を乗せて…
向こうの川岸まで…渡ってくれたのだ…。


訳を尋ねると…
なんでも…その「老人の漁師」には…
娘と息子がいて…

「於ふね様には…
 大変…お世話になっていた…」と言う…。


「老人の漁師」は…
「そんなご恩のあるお方から…
 このような高価な物は頂けないと…」
「於ふね」に…
「笄」を返そうとしたのだが…

「於ふね」は…
我が身の危険をかえりみず…
危険を承知で…
舟を出してくれた老人の心に打たれ…

「約束ですから…」と言って…
「笄」を返そうする老人から…
「笄」受け取らなかった…。


どうやら…
「於ふね」の…
「人に優しい」人柄と…
普段の「善き行い」が…
「於ふね」自身の…身を助けたようだった…。


「やはり…常日頃から…
 人には…善くしておくものですね…(笑顔)」(草の者の七助)

「ああ…普段の行い…が大切じゃな…(笑顔)」(蒼き者の伊兵衛)



その後、「於ふね」は…

村上義清の「側室」として…
高梨家から村上家へ送られた…
「人質」としての意味あいもある…。

その「村上方」から捜索を受けたが…
結局、村上方は…
「於ふね」を…見つけることができなかった…。


「於ふね」から…
「笄」を貰った「老人の漁師」は…

その証拠にと…「笄」を見せて…

「於ふね様は…
 川に身を投げて自殺した…」と…

村上方や、後日、この地を占領した武田軍に…
こう言ってウソをついたが…


それは…
村上方の探索から逃れるためであった…。


「於ふね」は…
草の者や蒼き者たちの忍びたちに守られて…
無事、実家の…
北信の高梨家へたどり着いた…

その後は、
高梨政頼の娘「於北(おきた)」と結婚した…
「真田源太左衛門(のちの信綱)」のもとを頼って…
「草の者」の「七助」らと共に…
「真田の庄」で暮らすこととなる…。


「於ふね」は…
こうして…葛尾城からの脱出に成功し…
村上方の人質としての立場から逃れ…自由の身となった…。


そして…
「於ふね」が渡った…
千曲川の渡しは…

「笄の渡し」として…

その逸話と共に…

今も…その地に地名が残っている…。


そして…主を失った…
村上義清の本拠「葛尾城」は…
ほとんど無抵抗のまま落城し…

支城である「弧落城」も…
味方の寝返りあってあっけなく落城…。

室賀、高坂などの周辺豪族も…
武田の軍門に降った…。


※この物語はフィクションです。




(つづく)

蒼き疾風 第137話 落城 -笄の渡し-(前編) 【シーゲルの歴史小説!】

蒼き疾風(あおきかぜ) 第137話 落城 -笄の渡し-(前編)


 【シーゲルの歴史小説!】





※この物語はフィクションです。


※この曲を聴きながら…読んでみて下さい。



↓↓


【この回のイメージ曲♪(その1)】
黄金の日日
http://www.youtube.com/watch?v=GN-ttLjTf9Y


【この回のイメージ曲♪(その2)】
武田信玄 大河ドラマ
http://www.youtube.com/watch?v=oCFx4-sbL6A


【この回のイメージ曲♪(その3)】
真田太平記 オープニングテーマ
http://www.youtube.com/watch?v=TfuHA6em9ec



↓↓



天文22年(1553年)3月末…

甲斐の「武田晴信(のちの信玄)」は…
信州の「村上義清」の本拠「葛尾城」を攻めるべく兵を進めた…。

武田晴信」は…
いつものように…「真田幸隆」を使って…
村上方に味方する豪族らに…密かに諜略を行い…

村上義清の衣を…1枚1枚剥ぎ取るかのように…
周辺豪族を切り離し…
村上義清を孤立して、丸裸にしてしまっている…。

すでに…戦う前から…
「勝利は確実」…
という状態にしてからの武田軍の出兵であった…。


対する「村上義清」は…
昨年、「真田幸隆」に「砥石城」を奪われてからは…

利き腕を奪われ…
のど元に剣を突きつけられたかのような…
土壇場の状態に追い込まれているのだが…

過去に二度、武田軍に勝利した「村上義清」は…
今回も武田軍相手に…
勝利を信じて疑わなかった…。


武田軍は…
村上義清の本拠「葛尾城」を攻める前に…
葛尾城の周辺を守る小城や砦を…一つ一つ攻め落とした…。

「高白斎記」によると…
4月2日に…苅屋原城を攻め落とすと…
塔原ノ城は…武田への寝返り(裏切り)によって自落した…。
あれよあれよというありさまで…

これには…
勝利を信じて疑わなかった「村上義清」も…
さすがに…焦りと驚きを隠せなかった…。

「おのれ!!武田晴信めっ!!(怒)
 また!!真田幸隆の諜略かっ!!(怒)
 卑怯なヤツらだ!!こしゃくなまねを~!!(怒)」(村上義清

「殿!!
 これでは…武田軍がこの城(葛尾城)に攻めてくる前に…
 味方の裏切りによって…城が落ちるかも知れませぬぞ!!」(村上義清の部下)

「くっ………(驚&悔)

 そうだな…もしかしたら…
 もう…この城の中にも…
 武田や真田に内通した者が…おるやも知れぬ…(悩&怖)」(村上義清

「殿!!
 いかがいたしますか…??(不安)」(村上義清の部下)

「逃ぐる!!」(村上義清

「に…逃げるので…ございますか…??」(村上義清の部下)


「もはや…誰も信用できん!!
 これでは…戦にならぬ…(困)

 北信に逃げ…
 そこで、我らに味方する豪族らをかき集め…
 「高梨政頼」を説得して…
 「越後(長尾景虎(のちの上杉謙信)」の「後ろ盾」を得る… 

 その上で、再びこの地に舞い戻ってくれば…
 武田に寝返った者たちや…どっち付かず者たちも…
 再び、我らに味方するであろう~!!(喜)」(村上義清

「おお~!!(喜)」(村上義清の部下たち)


村上義清は…そうと決めると…
軽装のまま…わずかな供を連れ…
その日のうちに…密かに…城を抜け出し…
馬を走らせて…
信濃へと逃亡してしまった…。


城内では…
そうとも知らずに…
篭城の合戦準備に追われる…
村上方の兵たちであったが…

その城内には…
「高梨政頼」の妹で…
村上義清」の「側室」となっている…
「於ふね(おふね)」の姿があった…。

その「於ふね」の近習には…
「真田の「草の者」(真田家の忍び)」…
「七助」の姿があった…。


「草の者」の「七助」は…
これと言った…優れた忍びの技を持たない…
一般人とほとんど変わらぬような…
半人前の忍びなのだが…

賢い上に、物覚えが良く、
機転の利く男であるから…

武田と村上とが戦となった時に…

真田幸隆」や「小泉小太郎」らと手を結ぶ…
「高梨政頼」の妹…
「於ふね」を守るために…
送られた「草の者(忍び)」だったのだ…。


その「草の者」の「七助」の前に…
「小泉小太郎」たちの「蒼き者」の…
「伊兵衛」と「新八郎」が現れた…


「蒼き者」の「伊兵衛」は…
武田晴信」から「山本勘助」が譲り受けた…
元「武田忍び」の「老人」で…

「忍び」としての…
過去の実績と経験は…申し分無い人物であるが…

何分…「高齢」であるため…
もう昔のような忍び働きは出来ず…

今は、小太郎らの「蒼き者」たちの…
信州での…
「指導役」や「ご意見番」といった重役を担っている…。


逆に「新八郎」は…
「蒼き者」の一員となった…
「加藤段蔵」配下の…
「越後の軒猿(越後忍び)」だった若者で…

人並み優れた体力と忍びの術を持つ…
優れた「戦忍び」の若者であるが…

頭の方は…からっきしダメで…
字の読み書きが出来ない上に…
極端に物忘れがひどく…
おまけに…ひどい「どもり」で「話し下手」ときているので…
つなぎ(連絡係)も出来ない…

そのため…書状を持たせて…
つなぎ(連絡係)に出すと…
その書状を…自分の衣服の…どこに隠したのか??それをも忘れる始末…

つまり…「新八郎」は…
「加藤段蔵」と共に…
越後から…体よく追い出された…
「落ちこぼれ」の忍びなのである…。



その「蒼き者」の「伊兵衛」が…
「新八郎」を連れて…
葛尾城内にいる「於ふね」と…
「草の者」の「七助」を尋ねて現れたのである…
余程の緊急事態であると…言って良い…。


「於ふね様…
 今夜…城を抜け出し…北信へ逃げまするぞ…(小声で)」(蒼き者の伊兵衛)


「えっ!!(驚)」(於ふね、七助、二人の侍女)


「武田は…近くまで来ているのであろうが…
 城が攻められる前に逃げ出したとあっては…
 我が主…(村上)義清様に…顔向け出来ませぬ…(困)」(於ふね)


「(小声で)
 その村上義清じゃが…
 わずかな供回りを連れて…城を抜け出し…
 もうこの城には…おりませぬぞ…」(伊兵衛)

「えええっ~!!!(驚)」(於ふね、七助、二人の侍女)

「しーっ!!
 大きなお声をお出しにならぬように!!

 (小声で)
 それを…城内の者が知ったら…
 大混乱になって…
 於ふね様とて…
 どのようなことになるか…わかりませぬぞ…
 
 着の身着のままでかまいませぬ…
 このまま…城内の中庭に身を隠し…
 日暮れと共に…城を抜け出しましょう…」(伊兵衛)


「伊兵衛」に言われるままに…
「於ふね」、「七助」、二人の侍女に…
そして「伊兵衛」と「新八郎」とで…

気晴らしに…
城内の中庭にある…草花を眺めると言って…
城内の部屋を出ると…

城内の中庭にある木々に隠れて身を潜め…
日暮れと共に…
城内に働きに来た民人を装い…
城を抜け出した…。




(後編につづく)