シーゲルの独り言☆

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蒼き疾風 第142話 疑問… 【シーゲルの歴史小説!】

蒼き疾風(あおきかぜ) 第142話 疑問…


 【シーゲルの歴史小説!】





※この物語はフィクションです。


※この曲を聴きながら…読んでみて下さい。



↓↓


【この回のイメージ曲♪(その1)】
黄金の日日
http://www.youtube.com/watch?v=GN-ttLjTf9Y


【この回のイメージ曲♪(その2)】
武田信玄 大河ドラマ
http://www.youtube.com/watch?v=oCFx4-sbL6A


【この回のイメージ曲♪(その3)】
真田太平記 オープニングテーマ
http://www.youtube.com/watch?v=TfuHA6em9ec


↓↓


天文22年(1553年)8月の半ば頃…

越後の春日山城では…

長尾景虎(のちの上杉謙信)が…
村上義清と対面していた…

武田晴信(のちの武田信玄)に敗れ…
行方をくらましていた村上義清は…
長尾景虎を頼り、援軍を請うべく…越後に現れたのである…

義に厚い景虎は…
親子ほど年の違う…
この敗軍の老将を労わるべく…
快く引見に応じた…


「お屋形様…
 村上義清に会って話を聞けば…
 救援を請われ…面倒なことになりますぞ…(心配)」(中条藤資

「そうです…我らは…これより…
 関東管領上杉憲政様を助け…
 北条の仕置に…関東に進まねばならぬこのときに…
 村上などを助け…
 武田家とことをかまえるつもりはありませぬ…
 むしろ…協力してやっていこうと…
 小太郎(小泉小太郎)と…あれほど話おうたではありませぬか…(不安)」(直江実綱)


「わかっておる…心配することは無い…
 敗軍の老将が…我を頼ってまいられたのじゃ…
 会わぬわけには…いかぬであろう…(笑)
 そちたちがおると…話がこじれるゆえ…ここで待っておれ…」(長尾景虎


そう言って景虎は…一人で村上義清との対面に向かっていった…


「……(心配&不安)」(中条藤資、直江実綱)

小泉小太郎に託され…
景虎に説得を促すように訪れた…
「加藤段蔵」は…
黙って二人の後ろに控えていたが…

それみろ…という顔をして…

「よろしいのですか?
 頼まれれば…否と言えない…ご気性の…
 あの…お屋形様のこと…
 村上義清に会えば…
 必ず…断りきれなくなりますぞ…(困)」(加藤段蔵)


「………(心配&不安&困)」(中条藤資、直江実綱)



そして…

村上義清と対面した…長尾景虎は…

案の定…
村上義清の切実な救援願いに…
だんだん断りずらくなりはじめていた…

それに…村上義清は…
越後に来る途中…
これまで共に武田家と戦い…
二度に渡って…武田晴信を敗北に追いやった…
「北信」の豪族たちに…

武田晴信めは…
 絶対に我らを許すはずがない…
 このわしの次は…そなたたちが追われる番よ…」(村上義清

と言って…脅し…不安にさせ…
共に長尾景虎に救援をこうように…説得して訪れて来ている…

こうなると…
村上義清は…「敗軍の老将」とは言え…
「北信の代表者」のようなものだ…
むげに救援を断るわけにもいかなくなる…


「なにとぞ、お力添え願いますよう…
 お願い申しあげまする…(丁重に)」(村上義清

「う~ん…(困)」(長尾景虎


景虎の警護と参謀役として…
この場に立ち会っていた…「宇佐美定満」が口を開いた…

「村上殿…すでにご存知あろうが…
 我らは…この後…
 関東管領上杉憲政」様をお助けし…
 小田原北条家を敵にまわして関東に兵を進めなければならない…
 そのため…武田家まで敵にまわしては…
 我らとて…たちゆかなくなってしまうこと…お分かりであろう…」(宇佐美定満


「さよう…
 我は…こののち…
 上杉憲政様の薦めで…上杉家の家督を継ぎ…
 関東管領職を受けることなっている…
 そのため…この冬には…京に上洛し…
 足利将軍家より…正式に関東管領職に任命されることになっている…
 そして…来年には…上州へと兵を進めるつもりである…
 その時…村上殿には…我の力になってもらいたいと思うておるゆえ…
 まずはこの越後で…ゆるりと休まれよ…」(長尾景虎


「……(黙)」(村上義清


「では…お屋形様…
 上洛の準備もありますゆえ…このへんで…」(宇佐美定満


黙って…二人の言葉を聞いていた村上義清は…
急に…ニヤニヤと馬鹿にしたような苦笑を見せた…そして…



「これは…義に厚く…毘沙門天の生まれ変わりと…
 うわさされる…うわさは…
 単なるうわさで…あったか…(苦笑)」(村上義清

「何~!!(怒)」(長尾景虎


武田晴信めの術中にはまる…
 単なる…普通の…若造であったか…(苦笑)」(村上義清

「無礼な!!(怒)」(長尾景虎


老獪な村上義清は…
若い景虎の自尊心を傷つけ…その心を揺さぶろうとしている…

「戦の天才」と呼ばれた景虎も…
人と人との対話となると…
まだまだ世間知らずの若者にすぎなかった…


それをみてとった老将の「宇佐美定満」は…
怒る景虎をなだめて…義清に言葉をかけた…


「村上殿…(怒)
 武田晴信の術中にはまる…とは?(怒)」(宇佐美定満


「そうだ!聞き捨てならぬ!!(怒)」(長尾景虎


「失礼じゃが…景虎様は…
 武田晴信めのずる賢いやり口を…
 まだお分かりになっておらぬようで…(苦笑)

 自分が…晴信めの術中にはまっていることさえ…
 まだ…お分かりにならぬようですな~(苦笑)」(村上義清


「村上殿は…
 我が…騙されておると申すのじゃな…?

 ならば…
 武田晴信のやり口は…
 どのようなものだと申すのじゃ!!(怒)」(長尾景虎


「それがしは…過去に二度…
 晴信めに…合戦で大勝利をしてございまする…
 一度は…上田原で…二度目は…砥石で…

 それなのに…最終的に敗北したのは…
 それがしにございまする…(悔しい)」(村上義清


「ふん…(苦笑)」(長尾景虎


「なぜだかお分かりになりますか?

 晴信めの戦のやり口は…

 十里働くところを…五里にとどめ…
 五里ならば…三里…
 三里ならば…一里…といった具合に…

 真に用心深く…
 慎重で堅固な戦上手でございます…
 ずる賢い…狡猾なやり口としか言いようがありませぬ…

 そして…
 戦わずして勝利しようと…
 謀略を使います…

 巧みに相手の内に入り込み…
 時には金をばら撒き…利を持ちかけて…
 隠密のうちに…味方を…一人一人…剥がされ…
 丸裸にされてしまうのです…

 そして…必ず勝てるという時になって…
 初めて…兵を動かします…

 同じ戦上手の…
 景虎様のやり方とは…似ても似つかぬ…
 卑怯で…汚い…狡猾なやり口なのでございます…」(村上義清

 
「う~ん…たしかに…
 晴信は…汚いやり口をする…(苦笑)」(長尾景虎


「そうです…(喜)
 晴信めのこと…
 もう景虎様の元にも…その隠密を遣わし…
 金をばら撒き…利を持ちかけて…
 景虎様のお心と…お味方を…謀略しているやも…知れませぬぞ…」(村上義清


「隠密を…??(不安)」(長尾景虎

景虎は…この時、初めて…
今まで疑おうともしなかった…
「小泉小太郎」のことを…疑問に思った…


「何か…お心当たりでも…??(ニヤと笑う)」(村上義清


「いや…何でもありませぬ…(動揺)」(景虎


「狡猾で汚い晴信めのこと…
 隠密を遣わし…
 越後と同盟するように見せかけ…
 その実は…
 もう北条と同盟を組んでいるやも知れますぬぞ…」(村上義清


「ほ…北条と同盟を…??(動揺)」(景虎

景虎は…小泉小太郎が…
相模の小田原出身であることを…
初めて…疑いを持った…

「これ以上…晴信めを野放しにしておきますと…
 景虎様を味方する「北信」の豪族たちは…
 晴信めに寝返るか…追い落とされてしまうやも知れませぬぞ…

 特に…高梨(高梨政頼)などは…
 武田の砥石城攻めのとき…
 武田側の「真田幸隆」などと組んで…
 それがしを…追い落とそうとしたのですからね…

 武田と…越後との間を…上手く立ち回る…
 表裏の者やも知れませぬぞ…」(村上義清


「た…高梨が…??(驚き&動揺)

 う~ん…(悩)」(景虎


景虎は…
小泉小太郎や真田幸隆などと親睦を深める…
北信の豪族…
「高梨政頼」のことまでも…急に疑問に思い始めた…


村上義清は…
その後も…景虎に実例をあげて…こんこんと説いた…

そして…景虎の心を動かす決定的な言葉が…


「このままでは…
 毘沙門天の生まれ変わりで…
 戦の天才と言われる景虎様でも…
 晴信めが相手とならば…
 それがしと…同じ運命をたどるやも知れませぬな…(苦笑)」(村上義清

「我が…晴信に負けると申すか~!!(激怒)」(景虎



このあと…景虎は…
怒りで…立ち上がったまま…
しばらく黙り込んでしまった…

(我が…晴信に…負ける??そんなはずは無い…(悩))(景虎の心の中)


景虎の中にあった…
武田晴信へのライバル心が…ここで一気に開花してしまった…

しばしの沈黙のあと…


「村上殿のおっしゃること…良くわかりました…

 ようするに…晴信の戦ぶりは…
 清々堂々戦うのではなく…
 謀略を使い…相手に取り入り…

 戦の後の勝利を心がけ…
 少しづつでも…
 領土を確実に増やす…姑息な戦ぶりであると…

 そして…晴信に…我が術中にはまり…
 このままでは…村上殿と同じ運命をたどっていると…

 そう申しているのじゃな…?(怒)」(長尾景虎

「はい…」(村上義清


「わかり申した…
 村上殿の救援の願い…お受け致しましょう…」(景虎

「ま…真でござるか…??(喜)」(村上義清


「すぐにでも…信濃に兵を出し…
 武田晴信が軍勢…蹴散らしてご覧に入れましょう…」(景虎


「ありがたきしあわせ!!(喜)」(村上義清


「晴信のやり方は良くわかった…
 そのような姑息で卑怯なやり方でも…
 確実に勝利を収めれば…
 それは…戦上手と…言うのかも知れない…

 しかし…我は違う…

 我は…戦の後のこと(領土のこと)など考えぬし…
 初めから…領土を広げようとの了見もござらぬ…


 晴信め…なぜ人の国を奪う…?(怒)
 信濃の名族たるもの…その風下に立つべきにあらず…

 我は…若輩者の不肖の身なれど…
 己を知る者のために…あえて力を尽くさん…と思う…

 さしあたった戦に、一戦たりとも負けじと戦うのみじゃ…

 武田晴信などには…決して負けはせぬ…」(長尾景虎


こうして…景虎は…
その日のうちに…信州への出兵を決めた…


義に生き…その生涯を貫いた…
長尾景虎…後の上杉謙信と…

武田晴信…後の武田信玄との…
長きにわたる…川中島の戦いは…ついに始まってしまった…。


つづく